現場監督の皆さま、お疲れさまです。
重機作業を行う際には、法令に基づく「特定作業計画書」の作成・提出が求められることが少なくありません。
しかし、現場によって運用ルールはさまざまで、ある現場では「毎日、重機1台ごとに作成」が必須とされる一方、別の現場では「工種単位で一度作成すればよい」とされる場合もあります。
このように発注者や現場ごとにタイミングが異なると、「いつ・どこまで作成すればよいのか」がわからないまま、言われるままに作成している方も多いのではないでしょうか。
このことを踏まえて、本記事では、法令で定められた「絶対に提出しなければならない」特定作業計画書の要件と、現場ごとのルールが異なる背景を整理し、「どのタイミングで何を作成・届出すればよいか」を明確に解説します。
届出が必要になる可能性があるケース
重機(クレーン、基礎工、杭打ち、掘削など)を使用する「特定作業」に該当する場合、作業計画書を作成して労基署に届け出が必要になるとされています。
バックホウ(油圧ショベル)を使った掘削作業は、「特定元方事業者による届出対象」には原則含まれない。
ただし、例外として以下のケースでは要注意
・地山の掘削が5m超:地山の掘削作業に該当→計画作成義務あり(88条)。※ただし労基署への届出は不要
・土止め支保工を設ける:同上(計画作成義務)
・地下鉄工事・大断面掘削:作業届出の対象になる可能性あり
・特定元方事業者で下請に機械掘削を行わせる場合:統括安全衛生責任者による管理下にあるなら、計画作成要
法令で「必ず」作成・届出が必要なタイミング
- <着手前>重機・足場組立・除染作業など特定作業全般:現場着工日の7日前までに計画書を完成・届出
- <変更時>作業内容や方法、機械の変更、作業範囲拡大などがあった場合:変更後の計画書を直ちに再届出
上記はどの現場でも共通の法令義務です。
「毎日」「機械ごと」といった運用は法令ではなく、あくまで社内や発注者のルールとして独自に定められるものです。
現場ごとに異なる「運用ルール」の背景
- 発注者の安全基準強化
大手ゼネコンやハウスメーカーでは、日々のリスク評価と教育徹底を狙い「毎日・機械ごと」の提出を求める場合があります。 - 工事規模・期間の違い
短期・小規模工事では「工種単位で一度作成」で十分と判断されるケースも。無用な書類作成を省くための運用です。 - 現場管理体制の差
安全管理担当者や書類審査体制の有無によって、提出頻度やフォーマットが変わります。
作成・提出のポイント
- 法定要件を外さない
計画書の様式・記載事項は「安衛則第47~50条」に準拠。最低限の項目(作業手順/リスクアセスメント/緊急対応/教育記録)は必ず網羅しましょう。 - 運用ルールの確認
発注者ごとの提出頻度・フォーマットを事前にヒアリング。工種単位か日次か、機械ごとかを明確にし、専用台帳を用意すると手戻りが減ります。 - デジタル化で効率化
タブレット上でテンプレート化し、作成~届出~保管をクラウド化。日次提出が必要な場合でも短時間で完了できます。
まとめ:法令遵守と現場ルールのベストバランス
特定作業計画書は、あくまで「法令で義務づけられた”一度以上の作成・届出”」が基本です。
その上で、現場や発注者が求める提出頻度や様式に合わせて運用ルールを整備しましょう。
法令要件を外さず、かつ現場負荷を最小化するデジタルテンプレートやチェックリストを活用し、安全かつ効率的な現場管理を実現してください。
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