はじめに
埋設管の破損は、現場をストップさせるだけでなく、近隣への迷惑や多額の修繕コストを招く“地中の時限爆弾”です。
私もこれまでに何度も埋設管を破損させたことがあります。
事前の調査で入手した図面に記載されているルートや埋設深さを信じて掘削を行ったにもかかわらず、運悪く(?)破損させてしまい、近隣や発注者にご迷惑をおかけした経験があります。
このような事故は、一度や二度ではありません。 本当によくある話しです。
本記事では、若手現場監督として事前準備から施工中の注意点、万一破損した際の対応までをマスターし、破損ゼロを目指すための必携ガイドをお届けします。
1. 事前調査と図面確認
- 最新図面の入手:設計図・埋設管図を必ず最新版で確認し、不明箇所は図面作成者や設備管轄者に照会。
- 現地調査:地上のマンホール位置、既設設備のマーキング状況を目視でチェック。
- 近隣工事の履歴の把握:過去の工事履歴やトラブル事例をヒアリングし、予想外の埋設物を洗い出す。
2. 掘削前のマーキングと安全対策
- カラーコーン+テープ:地下埋設管ルートに沿って明確にマーキングし、誰が見てもわかるラインを引く。
- 非破壊探査の活用:検知器や地中レーダーを使い、埋設深度と管の状態を事前に把握。
- 立会い体制:施工管理者と管轄者の立ち合いのもと、掘削範囲・深度の最終確認を実施。
3. 掘削・施工中の徹底ポイント
- 手掘りフェーズの設定:対象エリアへ掘削機を入れる前に、必ず手掘りで浅掘りし、管の存在を確認。
- 重機操作ルール:バケットの先端を管ラインより上層で水平移動し、深堀りは慎重に行う。
- リアルタイムコミュニケーション:オペレータと誘導員は無線で常時連絡を取り合い、管接近時には作業を一時停止。
4. 万が一破損したときの即応フロー
- 応急止水/止油:水道管・油管など破損管種別に応じ、バルブ操作や止水材で迅速に封鎖。
- 現場内通報:管理者・安全担当・警備に直ちに連絡し、二次被害防止の措置を開始。
- 復旧計画の策定:破損個所の調査後に復旧手順と資材手配を決定し、早期復旧を優先。
- 関係者報告:発注者・管轄官庁・近隣へ状況説明を行い、信頼を維持。
5. 教訓の共有とマニュアル化
- トラブルログの作成:破損要因・対処内容を記録し、事例集として社内で共有。
- 手順書・チェックリスト更新:発見ポイントや注意点をマニュアルに反映し、次現場へ展開。
- 定期研修:定期的に掘削手順や探査技術を再確認する研修を実施。
まとめ
地中トラブルを撲滅するためには、入念な事前調査と明確なマーキング、堅実な掘削手順、万が一の迅速対応が鍵です。
私の現場では、万が一が起こった時のために、各埋設管の「管理者緊急連絡先カード」を作成して、全作業員の手帳やスマホに貼り付けてもらい、より迅速な対応が行えるような工夫をしていました。
若手現場監督の皆さんも本ガイドを活用し、埋設管破損ゼロの安全現場を実現してください。
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