現場着手時の測量で測点・幅杭など、必要な測量業務について

現場監督虎の巻


現場監督の皆さま、お疲れさまです。

工事着手前に行う測量業務は、以降の施工精度や品質、安全管理に直結します。

特に「測点の設定」「幅杭(はばくい)打設」などの基本的な作業を怠ると、後工程で手戻りやトラブルが多発する可能性が高くなります

ここでは、現場着手時に最低限実施すべき主要な測量業務と、そのポイントを整理しました。


基準点・水準点の設置

  • 基準点(コントロールポイント)の打設
    国土地理院の既存基準点を利用できる場合はその座標を参照し、不足する場合は新たに杭打ち。
    基準点は最低3点以上、視準ラインが直線になるよう配置し、三角測量の基礎とします

  • 水準点の設置・測量
    完成設計GL(グランドレベル)を正確に管理するために、現場事務所近辺と主要施工エリアに水準点を複数設けます。水準測量で既設地盤高を把握し、切土・盛土量の算出基礎とします。


測点設定と幅杭打設

  • 測点の設置
    設計図面に示された軸線や角点、道路中心線、構造物の隅角など、主要な「測点」を現地に写し取ります。トランシットやTS(トータルステーション)を用いて、位置精度±10mm以内を目標に測定。

  • 幅杭(はばくい)の打設
    道路や擁壁など幅のある構造物については、両側の端縁位置を示す幅杭を打設します。幅杭は通常、基準杭(位置)と高低杭(高さ)を同時に管理できるよう、杭頭にプロットマークとGLマークを刻印しておきます。

  • 中間杭・外側杭の補助
    幅が広い箇所や曲線部では、作業の目安となる中間杭や外側杭を等間隔(5~10m程度)で追加。曲線ラインは短尺分割で位置を正確に示しましょう。


トータルステーションによる詳細測量

  • 現況地形測量(トポ測量)
    現地の地形・地物(既存構造物・樹木・過去の杭など)を点群または等高線で記録。出来形管理や設計変更時の比較資料として活用します。

  • 縦断・横断測量
    道路や配管・排水路など線形構造物に対して、縦断測量(中心線沿いの高低差)および横断測量(断面形状)を実施。設計断面図と現況を比較し、高低差を把握します。

  • トータルステーションの自動追尾設定
    長尺測点では、オートトラッキング機能を使って測定時間の短縮と精度保持を図ります。


レーザーレベル・GNSS測量の活用

  • レーザーレベル(レーザービーム水平器)
    簡易な高さ揃えや定設水準点からの水平ライン引きに有効。基礎天端や水槽の水平確認に用います。

  • GNSS(GPS)測量
    広範囲現況測量や舗装ラインの軸出しなど、屋外での迅速な測点設定に威力を発揮。ただし樹間・トンネル内では信号遮断に注意。


測量成果の管理と図面化

  • 測量図・成果図の作成
    トポ図、縦断図、横断図、杭伏図などをCAD上に作成し、関係者と共有します。

  • データバックアップとトレーサビリティ
    測量データはRAWデータ、図面データともにクラウド環境へ保管。日時・操作者を記録して誰がいつ測定したかを明確にします。

  • 出来形管理への連携
    施工中は随時再測量を行い、設計データとの差分を評価。出来形チェックリストに基づき品質管理を徹底します。


まとめ


現場着手時の測量業務は、基準点や水準点の設置、測点転写、幅杭打設、詳細トポ測量、縦断・横断測量、最新技術(GNSS・レーザー)活用、成果の図面化・管理という一連の流れで構成されます。


これらを正確かつ効率的に実施することで、以降の施工精度や安全性、コスト管理が大きく向上します


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