「ケガをしたら会社がなんとかしてくれる?」――その“なんとか”が労災保険です。
建設の現場では、雇用形態や下請け構造が絡み、判断が遅れがち。
ここでは若手監督でも迷わないように、何を・いつ・どう動くかを絞って解説します。
労災保険とは(サクッと要点)
- 対象:業務中や通勤中の負傷・疾病・障害・死亡(社員・日雇い・アルバイト等の労働者)。
- 一人親方・個人事業主:そのままでは対象外。特別加入していれば適用。
- 元請/下請:誰の現場で起きても、被災した人の加入状況で見る。まずは救護と記録が最優先。
給付の主な種類(現場でよく使う)
- 療養補償給付:治療費等を原則全額カバー(労災指定医療機関へ)。
- 休業補償給付:休業4日目〜、給付基礎日額の60%+特別支給金20%(実質80%程度)。
※雇用者負傷の最初の3日は会社が平均賃金60%を支払う(労基法)。 - 障害・遺族・葬祭給付:重度・死亡時の長期給付。
- 通勤災害:住居⇄職場の合理的経路上の事故も対象。
現場監督の初動フロー(迷ったらこれ)
- 救護最優先:119/労災指定医に搬送。出血・骨折は無理搬送しない。
- 記録:①日時②場所③作業内容④使用機械⑤目撃者⑥写真(全景→近景→傷病部)。
- 連絡:所長→会社・元請・発注者へ一次報告。「労災の可能性あり」で共有。
- 証拠確保:資機材・足場は勝手に撤去しない(危険除去後、原状写真)。
- 様式準備:医療機関用様式第5号(療養給付)/立替なら第7号、休業は第8号。所轄労基署へ。
よくある勘違い(ここでつまずく)
- 「軽傷だから自費で」→NG:あとで悪化することあり。最初から労災指定で。
- 「協力会社だから関係ない」→NG:元請にも安全配慮責任・報告義務。即時共有。
- 「一人親方でも労災」→要確認:特別加入の有無を朝礼名簿で確認・保管。
- 「労災隠し」→厳禁:行政指導や発注停止のリスク。隠すメリットはゼロ。
現場事務所・休憩所に掲示しておくもの
緊急連絡先一覧(119/所長/代理/元請・発注者/協力会社責任者/労基署)と、労災指定病院までのルート図(地図・所要時間・駐車場所・受付時間を明記)を誰からも見える場所に掲示。
まとめ
労災保険は「会社の厚意」ではなく、制度としての権利です。
現場監督の役割は、迷いなく救護→記録→連絡→様式のレールに乗せること。
朝礼で“ケガは労災で診る”を共有し、書式と連絡先を常備しておけば、誰が現場にいても同じ動きができます。
まずは指定医リスト・様式セット・特別加入名簿の3点を今日整えましょう。ご安全に。
※本稿は現場運用の一般的な解説です。詳細は所轄労働基準監督署・就業規則・元請の安全衛生方針に従ってください。
この記事が役に立った、面白かったと思ったら、「現場監督虎の巻」カテゴリもぜひチェックしてくださいね!


コメント