博多駅「空中都市」中止をどう受け止める?

現場監督虎の巻


JR九州の「線路上の新駅ビル(空中都市)」計画が工事費高騰などを理由に中止と報じられました。

線路直上という特殊条件では、夜間施工・防護・安全対策が積み増しされ、コストが跳ね上がります。

設計や仮設の準備が進んでいたとの報道に、現場の人間としては正直さびしく感じます。
でも覚えておきたいのは、進める力と同じくらい“止める力”も監督の仕事だということです。


何が起きた?(かんたん要約)

  • 計画はコストの上振れで実現性が低下。
  • 仮設・準備工事が一部進行

    ここまでの“積み上げ”をどう扱うかが課題


いま現場がやること(5つ)

  1. 止め方の基準を見える化「資材価格◯%超で再協議」「安全対策費が◯円/日超で縮小検討」など、再試算のしきい値を残す

  2. 仮設の資産化防護桁・足場・電源・照明・計測器は転用・売却・返却を即整理。撤去と原状回復の工程を安全計画とセットで作成。

  3. 記録を整える夜間窓の短さ、列車見合い時間、手戻り要因などを写真+ログで時系列に。精算・社内共有の土台になります。

  4. 説明の終い方近隣・関係者へ「停止日・動線復旧・騒音粉じん最終測定・問い合わせ先」を明記した案内を出す

  5. 撤去は施工以上に安全最優先重機動線、吊り荷下通行禁止、無線呼称、列停手順の再訓練。最後まで事故ゼロで終える。


次の大型案件に活かす設計・契約のコツ

  • 価格変動条項を実効化鉄・電設材などの指標連動、再協議の“発火点”を契約に

  • 段階的GO/KILL基本設計→仮設計画→鉄道協議完了…各段階で止める選択肢を双方に残す。

  • 暫定利用を仕込む途中で止まっても地域に残る“小さな成果”(デッキ一部開放、更新配管など)を計画に織り込む。


まとめ


中止は敗北ではなく、安全と採算の再判断です。

私たち監督は、進める時も止める時も、記録・安全・合意形成を丁寧に整える役目

今回の学び(基準化・資産化・記録化)を次の現場へ渡しましょう


少しでも皆さまの現場運営の一助になれば幸いです。今日もご安全に。


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