コンクリート打設後のひび割れ予防テクニック

現場監督虎の巻


コンクリートのひび割れ(クラック)は、構造的に大きな問題がない場合でも、美観を損ない、施主や利用者に良い印象を与えません。

特に引き渡し直後の見た目は、現場の評価や信頼にも直結します。

今回の記事では、現場監督として押さえておきたい「打設後のひび割れ予防テクニック」をまとめました。

ぜひ実践して、見た目も品質も優れたコンクリートを仕上げましょう


なぜひび割れが発生するのか


コンクリートのひび割れは、打設後の硬化過程や外部環境の影響で起こります。

特に初期段階のひび割れは、乾燥収縮や温度変化による体積変化が原因です。

硬化初期はコンクリート内部の水分が急激に失われやすく、表面に引張応力が発生してひび割れが生じます。

構造的な問題でなくても、美観や耐久性の低下につながるため、予防対策が重要です。


打設直後にできる予防策

  • 十分な締固め
    打設時のバイブレーターによる締固め不足は、空隙やジャンカを生み、ひび割れの発生源になります。
    適切な時間と方法で均一に締め固めましょう。

  • 表面仕上げのタイミング
    表面水が引く前にこて押さえをすると、水分が閉じ込められて仕上げ不良やひび割れの原因になります。
    表面の状態を見極めて施工します。

  • 急激な乾燥防止
    打設直後は風や直射日光による急乾燥を防ぐため、シート養生や散水養生を早めに開始します。


養生期間中の管理

  • 適切な養生期間
    コンクリートは7日以上(寒冷期は14日程度)の湿潤養生が推奨されます。
    養生を短縮すると強度不足や乾燥収縮ひび割れが増える恐れがあります。

  • 温度管理
    高温時は早期乾燥、低温時は凍害リスクがあります。
    夏場は打設時間を早朝や夕方に設定し、冬場は保温養生を行います。

  • 散水・湿潤保持
    蒸発しやすい環境では定期的な散水や湿布養生を行い、表面を常に湿らせておきます。


設計・施工段階での配慮

  • 適切なスランプと配合
    必要以上に水を加えると水セメント比が上がり、乾燥収縮ひび割れが増えます。
    設計スランプを守り、現場加水は避けます

  • ひび割れ誘発目地の設置
    コンクリートの収縮をコントロールするため、計画的にカッター目地や打継目地を設けます。

  • 鉄筋配置の適正化
    鉄筋量やかぶり厚不足もひび割れの原因です。図面通りの配置を徹底します。


まとめ


コンクリートのひび割れは完全にゼロにはできませんが、「打設直後の初期対策」「養生管理」、さらに「設計・施工段階での配慮」で大幅に減らすことが可能です。

現場監督としては、打設前から予防策を組み込み、職人や関係者に共有しておくことが重要です。

小さなひび割れ対策の積み重ねが、長く安心して使える構造物づくりにつながります。


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