現場監督のみなさま、お疲れさまです。
工事現場では設計変更や天候不順、資材遅延などによって、契約時の条件とズレが生じやすいものです。
特に変更契約や工期のずれが発生すると、追加費用や責任の所在でトラブルに発展することがあります。
この記事では、契約段階での押さえどころから、変更契約時の交渉ポイント、工期ずれ発生時の対応策までをご紹介します。
契約書作成時に押さえておきたい基本項目
- 範囲の明確化
設計図書・仕様書に記載された作業範囲を細かく列挙し、契約書に添付。
曖昧な表現は「別途協議」とせず、具体的な成果物や数量を定義しましょう。 - 変更手続き(変更契約)の取り決め
①変更申請の方法(書面提出、メール可など) ②承認フロー(発注者・施工者・設計者の合意) ③価格・工期への影響算定方法(単価×数量や日当×日数)を明記。 - 工期と遅延損害金
着手日・中間検査日・完了日を明示し、遅延時の対応(免責事由、遅延損害金率、協議期間)を設定。自然災害や不可抗力は免責とする条項を入れておくと安心です。 - 契約解除・変更条項
発注者都合や施工者都合で大幅な変更が必要な場合の解除条件・違約金についても、事前に合意しておくことで、紛争を未然に防げます。
変更契約の申請から合意までの流れと交渉術
- 変更発生の早期把握と報告
現場で変更が必要と判断した時点で、すぐに変更内容・理由・影響範囲をまとめ、変更申請書を作成しましょう。報告は口頭だけでなく、書面やメールで記録を残すことが重要です。 - 影響の定量化(コスト・工期)
変更作業に伴う追加工事費・人件費・資材費や、工期延長日数を具体的に算出します。過去実績や単価表を用いて根拠ある見積もりを示すと、相手の納得感が高まります。 - 交渉のポイント
– Win-Winの提案:変更費用全額を請求するのではなく、リスク分担や省力化案を盛り込み、発注者にもメリットがある形で交渉しましょう。
– 期限を設定:変更合意の回答期限を設け、ダラダラと議論が長引かないように管理します。
– 文書管理:合意内容は必ず「変更契約書」として作成し、捺印・署名のうえ書面でやり取りします。
工期ずれが発生したときの対応ステップ
- 原因分析と責任の切り分け
天候による中断、資材手配遅延、施工ミスなど、原因を明確化。
不可抗力か施工者都合かを判断し、免責区分を確認します。 - 工期再調整の協議
現場進捗表やガントチャートをもとに、新たな完了見込み日を提案。
工程会議で関係者と調整し、書面で「工程変更確認書」を作成しましょう。 - リカバリー措置の検討
希望納期を守るためには、夜間作業や人員増強、仮設移動式屋根の導入など、具体的な対策案を提示し、費用と効果を合わせて検討・提案します。 - 進捗管理と再発防止
変更後の工程を細分化し、短いサイクルで進捗レビューを実施。
問題が生じた場合は、瞬時に発見・対処できるよう体制を整えましょう。
トラブルを未然に防ぐためのベストプラクティス
- 定期的な契約内容チェック
プロジェクト開始から中間、完了直前のタイミングで、契約書と現場実態が一致しているかを必ず確認します。 - 契約管理ツールの活用
電子契約システムやクラウド台帳を導入し、契約書・変更履歴を一元管理。
過去の合意履歴を即座に参照できる体制を作りましょう。 - 教育・研修の実施
現場監督や若手社員向けに、契約条項や変更契約の手順、交渉ポイントを解説する社内研修を定期的に開催し、全員のリテラシーを底上げします。 - コミュニケーションルールの明文化
現場–発注者–設計者間の報告・相談フローをマニュアル化し、各担当者が誰に何をどのタイミングで伝えるかを明確にしておくとミスを防げます。
まとめ
工事契約書の変更契約や工期ずれは、現場では避けられない課題です。
しかし、事前に契約書でルールを明確化し、変更発生時には迅速かつ根拠ある交渉を行うことで、トラブルを最小限に抑えられます。
現場監督として、契約管理とコミュニケーションの両輪を意識し、安定した現場運営を実現してください。
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