真夏は「夏季休工」を試行へ――国交省の猛暑対策を現場監督はどう運用するか

現場監督虎の巻


報道によれば、国土交通省は近年の猛暑を受け、同省地方整備局発注の土木工事で真夏の1~2か月を休工とする「夏季休工」を試行し、あわせて早朝・夜間工事の活用を後押しする方針です(2025年9月21日付)。

来夏に工期がかかる案件から適用する見通しとのこと。

現場は「気合い」ではなく仕組みで暑さに向き合う段階に入りました。


何が変わる?(要点)

  • 夏季休工(1~2か月)を設定:真夏の屋外作業を原則停止し、品質・安全重視へ

  • 早朝・夜間のシフト活用高温時間帯を避けて作業。騒音・近隣合意・照明確保が前提。

  • 労働安全規則の強化:今年6月から熱中症対策の実施が企業に義務化。WBGT等の客観管理と休憩・遮熱環境の整備が求められる。


若手現場監督の実務ポイント

  1. 工程の再設計「夏季休工」を前提に、前倒し区間と後ろ倒し区間を切り分ける。舗装・鉄筋組立など高負荷作業は肩の季節へ移す。(ここで言う「肩の季節」は、真夏(猛暑)や真冬(厳寒)の“ピーク”の両肩にある、作業しやすい中間期のこと。)

  2. 契約・協議の段取り発注者とカレンダー変更(休工期間・早朝/夜間枠)を先に合意。交通規制計画、近隣説明、騒音・照明基準を添付して申請。

  3. 夜間・早朝の安全設計照明(平均照度・グレア対策)、誘導員配置、疲労管理(インターバル・交代制)を手順書化。近隣へは回覧+掲示で時間帯と連絡先を周知。

  4. 暑さ指数で判断WBGT常備、掲示、30~60分ごとの更新。朝礼で『WBGT◯◯→休憩◯分』『WBGT◯◯以上→中止』を明言→時刻入りで日報・掲示に残す。

  5. 品質リスクの洗い替え高温時は生コンの乾燥・合材温度・作業スピードに影響。肩の季節へ移すか、面積を縮小して品質を守る


チェックリスト(配布用にコピペOK)

  • [工程]夏季休工カレンダーを工程表に反映/発注者合意書を添付

  • [近隣]夜間・早朝の説明資料(時間帯・照度・連絡先・苦情窓口)

  • [安全]WBGT計測→掲示→休憩ルール/飲料・日陰・送風の常設

  • [品質]高温影響工種の移行計画/材料・施工条件の見直し

  • [記録]中止・縮小判断の根拠(指数・写真・時刻)を日報に残す


まとめ


「夏季休工」は、現場の命と品質を守るための工程設計の更新です。

暑さのピークは避け、やる日はコンディションの良い時間帯で確実に仕上げる

現場監督は、工程・契約・近隣・安全を前広に可視化し、チームが迷わない仕組みを作りましょう。

暑さは努力ではなく、設計で乗り越える――それが〈現場監督虎の巻〉の結論です。


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