写真は「見れば分かる」ではなく、**“誰が見ても同じように分かる”**が基準です。
本シリーズは、スマホ1台・今日の現場から実践できる内容だけに絞りました。
このシリーズの進め方
- 1分で目的を把握(その写真で何を証明する?)
- 撮り方の型(立ち位置/角度/距離/基準物の入れ方)
- よくあるNGと撮り直し(ブレ・逆光・基準なし など)
- チェックリストで完了確認
大切な考え方
- 再現性:同じ条件で同じ結果が伝わる構図にする
- 時系列:**「前→中→後」**で工程の流れを残す
- 基準:スケール・水平・通り芯・始終点など**“比較できる目印”**を写す
まずは、失敗を恐れず型どおりに撮る。そこから“伝わる一枚”に近づきます。
今回は、舗装工事の機械舗設作業を取り上げ、全景→中景→近景の基本と、温度・厚さ・ローラーパスなど“証拠になる写真”の撮り方を紹介します。
今日のゴール
- 「敷均し→転圧→仕上げ」のそれぞれで、全景→中景→近景をそろえる。
- 温度・厚さ・ローラーパス(ローラーが同じ場所を何回とおったか)を写真でのこす。
- 簡単なファイル名とメール提出ができる。
作業のながれ(写真タイミング)
合材到着 → フィニッシャで敷均し → 初転圧 → 中間転圧 → 仕上げ転圧 → ジョイント・端部処理 → 完成確認
写真は「はじめ・途中・おわり」の3タイミングを意識してとります。
「単語の意味」
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初転圧(=初期転圧/ブレークダウン)
- 敷均し直後の高温のうちに、早く・確実に締める段階。
- 多くは鉄輪ローラ(振動ONなど現場指示に従う)。
中間転圧(Intermediate)
- 密度を上げつつ平坦を出す。重なり幅・パス管理が要。
- 鉄輪 or タイヤローラなど。
仕上げ転圧(Finish)
表面を整えてマーク消し。多くは静的(振動OFF)
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撮る写真(必要カット)
- 舗設開始の場所 全景(始まり位置・向きが分かる)
- フィニッシャで敷均し 全・中景(全景はダンプアップを入れる)
- 敷均し直後 近景(表面の様子)
- 厚さ確認 中・近景(スタッフ・舗装定規を入れる)
- 温度 中・近景(表示と舗設面を一緒に)
- ローラーの動き 全景(初・中・仕上のルート)
- 初期転圧 中景(重なり幅が分かる)
- ローラーパス記録 中景(メモ札「初2/中2/仕1」などを写す)
- ジョイント 近景(縦・横の前→後)
- 端部処理 近景(まっすぐ・締まっている)
- 仕上げ後 全景(平らさが分かる角度)
- 欠陥チェック 近景(うねり・分離・ローラーマークの有無)
目安まい数:小さい区間 15〜25まい/大きい区間 30〜50まい。
エビデンス(温度・厚さ・ローラーパス)
- 温度:敷均し直後 と 仕上げ前 の2回。温度の数字+路面を同じ写真に。
- 厚さ:スタッフ+舗装定規の近景 + 測った場所が分かる中景。
- ローラーパス:同じ場所を何回とおったか。停止印+メモ札を一緒に写す。
⚠️ 温度撮影は「敷均し直後」と「仕上げ前」の2回(最低ライン)
結論:①スクリード直後のマット温度+②仕上げ転圧に入る直前のマット温度を撮る。
※「初期転圧(ブレークダウン)温度」ではない。(現場指示があれば追加で撮影)
① 敷均し直後(スクリード直後)
- 位置:スクリード後方1〜2m
- 写真:温度表示+路面(同一画角)
② 仕上げ前(最終ローラー直前)
- 位置:仕上げローラーが入る直前の区間
- 写真:温度表示+路面(同一画角)
+ 余裕があれば:より安心の「3点方式」
①敷均し直後 + ②初期転圧開始時 + ③仕上げ前
(写真とキャプションは上記と同じ型でOK。仕様・指示に②が含まれる場合あり)
NG → OK(温度写真)
- NG:温度計の数字だけアップ → OK:表示+マットを同一写真に
- NG:場所・タイミング不明 → OK:キャプションに「どこ・いつ」を入れる
注:「現場指示を最優先」。指示があれば撮影タイミングを追加して対応。
・マットとは、フィニッシャのうしろにできる、まだ熱い舗設面。(ローラーで仕上げる前。)
安全の写真
- 人と車の道を分ける(コーン・バー)。
- ローラーの停止位置(印や合図)を見せる。
- ダンプの荷台の離型剤(注意書き、軽油はダメ)。
ファイル名と提出(ルール)
ファイル名(並べやすい)
YYYY-MM-DD_工区_舗設_撮影順_ショット.jpg
例)2025-09-05_A工区_舗設_01_全景.jpg
- ショット:全景/中景/近景
- 撮影順:01, 02, 03…(2けた)
(後で探しやすければOK。)
メールの件名
[YYYYMMDD_工区_舗設]
例)[20250905_A工区_舗設]
メール本文(3行キャプションの例)
01全景:A工区 舗設開始位置と向き
02中景:初転圧のようす(重なり15cm)
03近景:温度 145℃(敷均し直後)
NG→OKの例
- NG:「IMG_1234.jpg」だけ → OK:「2025-09-05_A工区_舗設_01_全景.jpg」
- NG:近景だけ → OK:全景→中景→近景の3まいで文脈
- NG:温度計だけアップ → OK:温度数字+路面を同じ写真に
- NG:口頭で「初2/中2/仕1」 → OK:黒板やメモ札を写真にうつす
宿題(上司や先輩に見てもらいましょう)
- 「全景→中景→近景」の3まいセットを、2セット以上つくる。
- ファイル名とメール件名は、このページのルールどおり。
- ローラーパスは黒板やメモ札を入れて写真で残す(例:
初2/中2/仕1
)。
チェックのポイント:抜けがない/写真がぶれない/キャプションが短く分かりやすい/当日提出。
まとめ
やることは簡単。
「3まいセット(全・中・近)」「温度・厚さ・パス」「名前と提出」。
この3つをまもれば、だれが見ても分かる写真になります。
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