「まずは“残すべき写真”を外さない」。これが現場管理の第一歩です。
この記事では、舗装の切削作業で必ず押さえたい状況写真と出来形写真の撮り方を、超初心者向けにわかりやすくまとめました。
この記事どおりに進めれば、次工程(乳剤散布・舗設)を止めずに、必要十分な写真が揃います。
今日のゴール(これだけ撮ればOK)
- 状況写真:作業の流れ(切削→積込→清掃)が一目でわかる写真を揃える
- 出来形写真:規定の切削深さが確認できる写真を揃える(始点→終点の向き)
事前準備・注意点チェックリスト
- 何cm切削するか(設計切削量)を確認
- 測点の断面図で片勾配か両勾配(山型)かを確認
- 出来形写真用の道具の準備:水糸/ピンポール/スタッフ/リボンロッド 等
- 写真の手元(補助)を頼む人に声かけ(目盛り保持・水糸保持・安全確認)
- スイーパー完了後、すぐに出来形撮影(乳剤散布を待たせない)
- 撮影方向の原則:始点→終点
- 暗所対策:その場で拡大確認し、ブレ・目盛不鮮明なら即撮り直し
- 撮影後の道具はすぐに片付け、または次の測点付近の邪魔にならない場所に仮置き
状況写真の順番・撮り方(流れが伝わる構図)
- 切削機の斜め後ろから、ダンプへの積込がわかるように撮影。
- 切削機とダンプを入れ、遠景で全体が写る写真。作業の流れが把握できる引きの一枚。
- スイーパーが稼働中の状況写真。
- 切削機→スイーパーの施工順序が伝わる遠景写真。一連の流れを1枚で示す。
- スイーパー完了後の清掃完了写真。作業箇所全体が写るように。
コツ:人・機械・搬出車両の位置関係がわかるように、高めの立ち位置で撮ると情報量が増えます。
安全確保の上、逆光は避け、影が重要部にかからないタイミングで撮影しましょう。
出来形写真の撮り方(深さ・勾配を証拠化)
基本方針:撮影方向は始点→終点。
道路中央付近から、両端部(路肩側)と中央部の“下がり”がわかるように撮る。
アップでは断面と目盛りが明確に写ること。
- 道路中央付近から、両端部の断面が読める位置関係を作る
- 水糸・ピンポール等で基準ラインを見せる。スタッフ・リボンロッド等で数値を読む
- アップは目盛りの数字が読めるまで寄る(ピント固定)
- 測点の両端部が入る遠景写真。(始点→終点の向き)
- 端部×2か所+中央部のアップ写真。断面と目盛りがはっきりわかるように。
コツ:端部は舗装が欠けやすいので、目盛りを端部に沿わせ過ぎない位置で“深さ”を示すと読みやすくなります。スタッフは垂直、水糸はピンと水平に。
現場フローに沿った“迷わない”撮影手順
- 開始前:設計切削量・勾配を最終確認、道具と手元を配置。
- 切削・積込:状況①②を撮影(斜め後方・遠景)。
- 清掃:状況③④を撮影(スイーパー稼働、順施工の遠景)。
- 清掃完了:状況⑤を撮影(全面が綺麗な状態)。
- すぐ出来形:遠景→端部アップ→中央アップの順で撮影。
- 撤収:道具を次測点付近へ移動、施工の邪魔にならない場所に。
よくあるNGとリカバリー
- NG:目盛りが読めない/ブレている → その場で拡大確認→即撮り直し
- NG:撮影方向が逆(終点→始点) → 原則は始点→終点で撮り直し
- NG:アップだけで遠景がない → 遠景1枚を追加し、位置関係を補完
現場で使えるミニ・チェックリスト
【状況写真】 □ 斜め後方から切削→ダンプ積込がわかる写真 □ 切削機+ダンプの遠景(作業の流れ) □ スイーパー稼働状況 □ 切削→スイーパーの順がわかる遠景 □ 清掃完了の全景 【出来形写真】(始点→終点の向き) □ 測点の両端部が入る遠景(道路中央付近から) □ 端部アップ(断面+目盛りが読める) □ 中央部アップ(断面+目盛りが読める) 【共通】 □ 設計切削量・勾配を事前確認 □ 手元の確保(水糸・スタッフ保持) □ 暗所はその場で拡大確認→不鮮明は撮り直し
撮ったあとのひと手間(管理がラクになる)
- ファイル名例:2025-08-21_切削_J1+00_状況01.jpg / 2025-08-21_切削_J1+00_出来形_端部UP.jpg
- 並べ方:「01状況→05状況→出来形遠景→端部UP→中央UP」の順で時系列が伝わる
- メモ:切削深さ・勾配・測点・車線名を台帳に併記
まとめ
切削の写真管理は、流れを見せる状況写真と、数値を証拠化する出来形写真の二本柱です。
この記事のチェックリストどおりに押さえれば、初めてでも“必要十分”な写真が揃います。
まずは一現場、やってみましょう。
撮って、拡大して確認して、必要ならすぐ撮り直す——この地味な積み重ねが、あなたの現場力を確実に上げていきます。
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