コンクリートの伸縮・膨張については、思っている以上の対策をしよう。

現場監督虎の巻


コンクリートは湿度や温度の変化で伸縮・膨張を繰り返します
その動きが想定以上になると、縁石や土間コンが反りあがり、道路や駐車場にひび割れを等の不具合を引き起こす原因になります

今回は、現場監督として押さえておきたいコンクリートの伸縮対策を解説します。


コンクリート伸縮・膨張のメカニズム

  • 温度変化:夏季は高温でコンクリートが膨張し、冬季は低温で収縮する。
  • 湿度変化:コンクリート内部の水分が蒸発・吸収することで体積が変動。
  • 乾燥収縮:打設後の乾燥過程で水分が抜け、内部が引張応力を受けてひび割れリスクが増加
  • 固化膨張:セメントの水和反応で微細膨張が発生し、周囲と強度差が生じた場合にクラックを誘発する。


発生しやすい箇所と症状

  • 縁石・エッジ部:直線部と曲線部、素材が異なる面がぶつかる箇所で伸縮の差が生じやすい
  • 舗装ジョイント:アスファルトやタイル舗装とコンクリートの継ぎ目で隙間がなくなるとクラックが発生
  • 柱脚まわり:柱脚部の湿気上昇や雨水滞留で部分的に伸縮が集中し、亀裂が進行。


対策と施工ポイント

  1. 適切な伸縮目地(エクスパンションジョイント)の設置
    一定間隔(約5~10m)ごとに伸縮目地を設けることで、コンクリートの自由な動きを確保。
    ・伸縮目地には耐候性・耐水性に優れるゴムやウレタン系シーリング材を使用。

  2. 乾燥収縮ひび割れ防止のための緻密な配合設計
    セメント量を最適化し、粗骨材の配合比率を調整して乾燥収縮を抑制。
    ・乾燥収縮低減剤や微細膨張材を添加し、打設直後のひび割れリスクを軽減。

  3. 適切な養生と湿潤管理
    ・打設後7日間以上は散水・養生シートなどで湿潤養生を徹底
    ・初期強度が十分に確保されるまでは、乾燥を極力抑える

  4. 補修のためのシール・リペア工法
    ・既存クラックには、エポキシ樹脂注入やUカットシールで早期補修
    ・縁石の浮き上がりが著しい場合は、跳ね上がった部分を切断して再設置する。

  5. 構造的対策としての鉄筋・ワイヤーメッシュの配置
    ・ひび割れ抑制用にワイヤーメッシュを適切な位置に配置し、構造的な強度を向上。
    ・亀裂が入りやすい箇所には径の太い鉄筋を配置し、伸縮応力を分散


事例紹介:縁石の反りあがり


過去の現場では、冬季の低温シフトから春先の急激な気温上昇により縁石が大きく持ち上がり、歩行者やクルマの通行に支障が出るような不具合が発生しました。

現場監督としては、着工前に気温変化のシミュレーションを行い、伸縮目地の配置を最適化するべきでした。


まとめ


コンクリートの伸縮・膨張は、思っている以上に甚大な影響を現場に与えます

縁石が反りあがってクラック等を誘発し、二次的な被害につながる前に、施工段階で緻密な配合設計や伸縮目地の設置、適切な養生管理を徹底しましょう

現場監督の一手間が、品質と安全を大きく向上させます。


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